2019.03.22

電子タバコは歯に悪いのか?

患者さんからの質問で、治療の際に「加熱式タバコを吸っているけど、治療に影響はあるのか?」というものがあります。

 

 

最近、従来のタバコの代用品として、「加熱式タバコ」「電子タバコ」と呼ばれるようなものが表に出てきました。

電子喫煙装置の始まりは、1965年のアメリカとされており、古くから構想自体はあったようです。現在のような形になったのは2005年からで、中国の発明家であるHon Likがアメリカで特許を取得した頃からです。ちなみにこの商品は、彼のヘビースモーカーだった父親が肺がんで亡くなった後に発明されました。

 

「加熱式タバコ」の代表ともいえる商品は、皆さんご存知の「IQOS」ですね。こちらは上記を吸引するという点においては同じですが、ニコチンを摂取することを目的としたものになります。

「電子タバコ」「VAPE」と呼ばれ、ニコチン・タールフリーで豊富なフレーバーを楽しめるというのが売りで、喫煙者・非喫煙者を問わず幅広い層から人気を集めています。海外ではニコチン入りの「VAPE」も存在しますが、日本では一般的には流通していません。 

 

 

従来のタバコと比べて、電子タバコや加熱式タバコは、歯科領域である口の中に対してどのような影響があるのでしょうか?

従来のタバコの煙の中には、既に知られている70種類の発がん性物質を含む10,000~100,000相当の化学物質が含まれています。電子タバコにおいても、鉛・ニッケル・クロムなどの毒素は含まれていますが、従来のタバコと比べるとはるかに少ない量とされています。Goniewiczらの研究では、12のブランドの電子タバコを調べたところ、毒素のレベルは、従来のタバコの9~450分の1程度と非常に少ない値を示しました。

 

ここまで従来のタバコと比較した加熱式タバコや電子タバコの利点を述べてきました。しかし、残念ながら喫煙であることには変わりがありません。着色という点に関しては、従来のタバコと比べ、タールの量が少ないということもあり、ヤニがつきにくいという「ささやかな利点」がありますが、治療の際には、骨や歯ぐきの治癒が遅くなるというリスクが依然として伴います。特に、インプラントや歯周外科などの処置を行う必要性がある場合は、喫煙の有無が手術の成功率に直結します。

 

従来のタバコはもちろんのこと、加熱式タバコや電子タバコを嗜む方についても、歯科治療を受ける際は十分相談の上、治療法を選択していただければと思います。当院では、患者さんにそれぞれにぴったりの治療法を選んでいただいた上で、進めていく準備があります。ぜひ一度ご相談ください!

 

 

参考文献

1.Herbert G. Smokeless non-tobacco cigarette (US3200819 A). 1965.

2.Hon L. Electronic atomization cigarette (US7832410 B2). 2010.

3.National Institute of Dental and Craniofacial Research (NIDCR). Effects of E-cigarette aerosol mixtures on oral and periodontal epithelia.

4.Jensen RP, Luo W, Pankow JF, et al. Hidden Formaldehyde in E-Cigarette Aerosols. New England Journal of Medicine 2015;372:392–4. doi:10.1056/NEJMc1413069

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